金なしでも豊かな生活 money less man(邦題 ぼくはお金を使わずに生きることにした)

 

ぼくはお金を使わずに生きることにした

ぼくはお金を使わずに生きることにした

 

 

 

The Moneyless Man: A Year of Freeconomic Living

The Moneyless Man: A Year of Freeconomic Living

 

 

 

□内容のまとめ

お金に対して疑問を持つマークさんが、お金を使わなくて豊かな生活を送れるかを一年間の実験を通して示した本。

 

お金や資本主義への疑問から始まり、ガンジーの「自らの欲する変化に自身が変化せよ」という言葉に勇気づけられ。生活に必要な電気や、家、食料などをお金を介さず物々交換やごみ漁りなどをしながら手に入れる。大規模なパーティなどを企画したり、ヒッチハイクでテレビ局まで行き、「金なし生活」について話す。そんな一年間の金なし生活の様子とその中で感じたことをイギリス人らしいユーモアを交えながら生き生きと書いてある。

 

□なんで読もうと思ったのか

英語の勉強用のペーパーバックとして購入。その面白さにページをめくる手が止まらなかった。

 

□感想 この本の本質は金なし生活そのものではなく、いかに幸福に生きるかを考えている点

 

いわゆる自給自足の経験談かと思いきや、経済の話や環境問題の話など様々な社会問題にも言及している。作者のマークさんは環境問の原因の一因や、人々があまり幸福に見えないことの原因として、”生産”と”消費”が遠く離れてしまっていることに原因があるという。

 実際ある心理学者によると作ることは人間にとって消費よりも、喜びの大きい娯楽であるのでより幸福に生きるために生産を生活にとり入れるのは重要だろう。

 

 私たちの生活は今やあまりにも複雑すぎて、自分の生活なのにコントロールできないことが多い。物価とか電気代とか生活へのインパクトが大きいのに自分でコントロールできてない。生産を近づけるというのはお金によってアウトソーシングしていた自分の生活を、また自分のコントロールに近づける行為なのだとこの本を読んでいると思う。ただ、アウトソーシングしてたのは自分でやると大変だからである。こんな個人では難しい仕事もマークさんは友人や周りの人の協力を得て悪戦苦闘しながらこなしていき、それがまたいい思い出になり豊かな人間関係の構築につながる。

 

 生活に必要なものはお金ではなくお金を使って得られるモノ。だからお金を介さずに直接そのモノを手に入れればいいんじゃない?という価値経済やシェアリングエコノミーの先駆け(という時期か?)的な活動も行っており。ただの日記というより、ある意味で社会の行く先の一つを暗示している。

 

 お金への依存を減らすことはこれからの未来を生きる上で重要。依存の減らし方や新しい生き方を提示してくれる一冊。